ニ、どうにもおいねえがなあ。お前も言うだけの事は言っただから、どうだ、黒田の別荘だけは手をつけねえという事にして、あとは勝手に開墾させるという――言って見れば妥協だが、今の御時世なんつもんは、一切合切軍部軍部で、ここらの実行組合の世話役なんず、言って見れば軍部だかんな、長い物にゃ巻かれろだ。
金吾 うむ。だけんど、そうするとしても別荘にゃ、ふだんは誰も住んでねえしな、ああしておくのは食糧増産の国策に反すると言ってるだから、あすこを残して開墾してくれと言っても組合でウンとは言うめえ。
壮六 そりゃ話のつけようだ。俺がちゃんと話をつけて見べえ。
金吾 俺あ駄目だと思う。そんで万一あすこが取りつぶされちゃったら、今後又春子さまがこちらに見えた時、どこに置いときゃええだ?
壮六 そうなったら問題ねえ、このお前んちに置きゃええよ。
金吾 そ、そんなお前、そんな事あ出来ねえ!
壮六 はは、お前という男も、なんとまあ、ふふ……

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その時、不意に、この家のハメ板や窓に向って周囲の林から小石がふって来てカタッ、カタッ、バラ、バラガタンと激しい音。
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金吾
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