s六 ひっぱたいた? そんなムチャな――いや、後で話さあ。こいからお前どうする? 俺あこれから金吾んちへ行くが?
喜助[#「喜助」は底本では「善助」] じゃ俺も一緒に行くか。金吾んちで一杯のみなおしだ。ちしょうめ!
壮六 ……(金を出してそこに置いて)おかみさん、おやかましう。代はここに。さ、棟梁! 大丈夫かよ?
喜助[#「喜助」は底本では「善助」] なあに!
お妻 そりゃどうも。だいぶ呑んでるで気をつけてな。

[#ここから3字下げ]
「お晩でやんす!」と言って通り過ぎて行く少女。

音楽(信州のテーマ、静かな)

遠くでフクロウの鳴声。

いろりばたで、めしを食い終えた茶碗や箸の音がして。
[#ここで字下げ終わり]

金吾 壮六、もう汁はいいかい? まだあるぞ。
壮六 いや、俺あもうたくさんだ。喜助棟梁が目えさましたら食わしてやれ。……見ろま、棟梁すっかり酔いつぶれて寝こけてら。腹あ立ってるもんで酒がよく廻るだ。
金吾 喜助さんと言い――(大鉄びんから茶をつぎながら)お前と言い、俺の事じゃいつも心配かけてすまねえなあ。
壮六 なあに心配はいいが、どうだ、ここらで何とか話をまとめねえ
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