ノついて落窪の実行組合で、落窪はずれの山を共同耕作で開墾しようという話になったのを、金吾さんがうんと言わねえので、話がえらくもめやした。というのが、その山の真ン中へんに、黒田さんの別荘があってね、金吾さんにしてみれば、それを取りつぶされるのは、つらい。金吾さんは、ふだんはおとなしいが、一たんこうと思うとなかなかきかねえしね。実行組合では、村の旦那衆がガアガア言うし、川合の壮六さんは言うまでもねえ、郵便局の林さんなぞが間に入ってくれたり、しまいに海尻の大地主さんで轟さん、この人は県会議員にもなった人で、このへんの、まあ、一番えらいしだったが、そういう人の所まで話が行ってね、そりゃゴタゴタしやした。……

轟 (中年の男)いやあ川合君――だったね、あんたの言うことも一応はわかるが、ご存じの通り、満洲国は出来上った。支那事変はああしてグングン奥地にまでひろがってしまう。こういう際に地方に住んでいるわしらとしては、国民の主食を確保するということに全力をあげなきゃならない。そういう際にだね、山林を開拓して、主食を生産しようとする下からの民意をだな、おさえるということはできないな。
壮六 いえ、そ
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