ヨもどって来てね。急に十も年をとったように、いっとき寝こんでしまった、……「お豊さん、敦子さまがこれまでなんどもおっしゃった通り、春子さんは、つまらねえ女だ。俺あ今度こそそれが骨身にこたえてわかった。だのに、俺あ、その春子さんを、心からうっちゃることが出来ねえ」……そう言って金吾さん――しみじみ溜息をつきましたよ。あれは昭和六七年ごろだったかなあ、――その時分、満洲事変が起きて、それからその次の年には上海事変が起きる。そいから、たしか五・一五事件たらいうこともその年に起きて、そんで満洲国がでける。国際連盟を脱退するの、二・二六事件というのもありやしたね……そいから蘆溝橋で戦争が始まって、日支事変が焼けひろがる。へえ、わしらには何のことやらわからねえ、どえらいことがバタバタとつづいて起きて、今から思うと何のことはねえ、太平洋戦争がおっぱじるまで、思い出してみると一息だったような気がしやすよ。その間、ここら山ん中でもいろんなことが大分変ってね、息子や親父を出征さしたり戦死さしたりした家も多かったが、一番大きなことは食糧増産々々々々で、あっちでもこっちでも、えらく開墾の仕事がはじまった。それ
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