竄チて会うだけは会わせるが、二人だけの話はよしにしてくれよ。僕が後で、社長から叱られるからね。なに、この人の一身上のことでは心配しなくてもいいよ。この事務所で、炊事だとか、つくろいものなぞをやってもらっていてね。今日は山祭りでみんなこうして一杯飲んでいるんで、お春さんにも一口飲まして、まあ愉快にやってるんだ。君もどうだ、一杯。
金吾 へえ、どうも。わしあどうも不調法で――
源次 そうか、そいじゃまあ――おい、みんな、お春さんも景気よく飲もう、さあさあ。え、飲めよお春さん、遠慮するなよ、おめえ、いける口じゃねえのか。
春子 事務長さん、かんべんして下さいな。私あ、もう――
源次 だってお前、さっきまでさされた酒はいくらでもカプカプ飲んでたじゃねえか。この、ええと、金吾さんとかが現われた途端に飲めねえというのはどうしたんだよ。今更そんな様子ぶったってしょうがねえぜ。さあ、飲めよ!(近寄って行き、茶碗を持たせて、ゴボゴボと酒をつぐ)さ、飲んでくんなよ、さあ!(春子の茶碗に手を持ちそえて、無理じいに飲ませる)
春子 あ! アプッ、アプッ!
助三 事務長、まあいいじゃねえか。高い酒をそう無理に飲
前へ 次へ
全309ページ中211ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング