オいがね、それもこれもこっちに金が無いのだから仕方がない。ただこの敏子にまで横田がサツビラを切って手をかけようとしている。こいつだけは、いかな私も我慢がならないんだ。察してくれたまえ金吾君。だから本来この子を芸者なぞには出したくないんだがね、私も今のままではしょうがないんで、ちょうど浜の方に口があるし、御存じの満洲がああだしな、乗るかそるかもう一度やって見たい、それでどうしても五六千いるんだ。どうだろう、その金を一時拝借させてくれないか。勿論私が立ち直ったら二倍にしてお返しする。その代り――代りと言っちゃなんだが、この敏子も芸者にしないですむし、春子のことも一切君におまかせしてもいい。どうだろう?
金吾 へえ、そりゃ私の方はどうせ使ってもらうつもりで持って来たものでやすから!
敏子 駄目っ! 小父さん、こんなお父さんの言うことなぞ真に受けては駄目よ!
敏行 はは、さっきからお前が言ってたホントの父親ではないと言うわけか? 金吾君、人間も落ちぶれると自分の娘から、こんなことまで言われるよ。まあいい、何とでも言いなさい! どうだな金吾君、私を助けると思って、それだけの金そっくり貸してくれな
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