ウんがお母さんをいじめるので、あちこち逃げまわるようにしているのね。
金吾 すると敏子さまを芸者に出すという話は?
敏子 お母さんは反対なの。だのに父がどうしても金が要ると言ってね。以前知り合いだったとかで私を小倉へ連れてきてね、いえ、まだ、こうしてあずけられているだけだけど。そこい横田の小父さんが私のことで金を出そうと言うんだけど、父は昔自分が使っていた人なのでそれを嫌がっているのね。母は間に立って、もうどうしていいかわからなくなって困っているようなの。くわしい事は私にはわかんないわ。
金吾 とにかく俺あ春子さまに一応お目にかかって、そんで俺あ、これから敦子さまのお内へ行くか、秩父の方へ行って見るか、とにかく俺あ出来るだけの事はしやすから。とにかく敏子さま、これはな――(いいながらふところの財布から金を取り出して)ここに三千円ありやす。こりゃ、あなたさまの事で春子さまにお渡しする気で持ってきた金で、あんたさまにお渡ししときやすから、その芸者屋のおかみさんにお渡し下さるなり、俺にゃそったら事わからねえから!
敏子 でも、こんな大金、私困るわ。お母さんに渡して。
金吾 いや春子さまにゃ春
前へ
次へ
全309ページ中197ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング