ェ手ちがいつづきの上に二度も三度も病気になったりしてね、そいで、今度、浜の方に貿易の仕事の口があってね、満洲でこうして事が起きると、これが機会だからね、一度上海に渡って見たいと思う。つまりその旅費やなんか、この際どうしても少し金が要るんでね、ひとつ、おなじみ甲斐に何とか都合をつけてもらえないかねえ?
おかみ いろいろ御事情がおありなことはわかります。けど、なん度も申し上げるようですけど、こんな話は無理をすると後で困ることになりますんで。ですから、その実のおっ母さんとお話し合い下さってそちらの話がかたまってから手つづきをさせてもらいましょう。それまでは敏ちゃんの方は私の方で責任をもっておあずかりして仕込むことだけはちゃんと仕込んで置きますから。
敏行 そうかねえ。金が実は大至急にいるんじゃが。弱ったねえ……もしかすると、その横田の方だな――なんでも敏子のことを聞きつけて、あれの身がらを柳橋の方へソックリ連れて行きたいと言ってるそうだが――横田から、こちらへ金でも出てるんじゃないだろうね?
おかみ (むっとするが、さりげなく笑いにまぎらして)ほほ、そりゃ、そういう話もちょっと有りますがね、
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