オかしそんな事はこれから一本でお座敷に出ようという子の前人気みたいなもので――ですけど、横田さんから金をもらったために私がこんな話をしているように取られちゃ、いかになんでもこの小倉の内ののれん[#「のれん」に傍点]が可哀そうじゃございますまいかねえ。旦那も一昔以前はここいらであれだけ羽ぶりをきかした方なのに、それがそういう事をおっしゃりはじめると話がおもしろくなくなっちまうんですけどねえ。じゃ本人を呼んで一度聞いて見ましょう[#「見ましょう」は底本では「見ょしまう」]。本人は横田さんの話も嫌がっているようですけど、お父さんのあなたのお話も、なんですかあまり喜こんじゃいないようですよ。
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(ポンポンと手を叩く)
[#ここで字下げ終わり]
清乃 (若い芸者。次ぎの室から)はい。……(と言って出て来て)御用ですか?
おかみ あのねえ……あら清乃ちゃん、あんた田口の御宴会の方、お約束だったろ?
清乃 はあ、あれは三時ですから。
おかみ でも、そろそろ髪ゆいさんの方へでも行ってなにしないと。あのね、裏の座敷でみんな、お稽古だろ。敏子ちゃんにチョイとこっちへ来てちょうだいと、
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