i足音をさせて近づいて来る)どうした金吾?
金吾 おう壮六……
壮六 春子さまの方から、何かそう言って来たかよ?
金吾 うん……
壮六[#「壮六」は底本では「吾六」] どうしたつうんだ?
金吾 困った……これ読んでくれ。(レター・ペーパーを壮六に渡す音)今度は、逆に敏行さんの方からおどかされて、金をはたられてる模様だ。弱ったなあ、どうすればいいだか。それに、そこに敏子の身柄についても困ったことが出来ましてと書いてある。その事だがな、何でも敏子さまを芸者にするとか、お妾にするとかって横田って男がいろんなことを言うらしい。
壮六 ……うん、これだけの手紙じゃ、俺にあくわしいことはわからねえが、とにかく困っていなさるようだな、うん。
金吾 壮六、俺あこれからすぐ東京へ行ってみべえ。
壮六 えっ、そりゃしかし、お前が行ったとて、どうで問題は金のことだらず。
金吾 いや、金はちったああるしな。とにかく、すぐにちょっくら行ってくら。
壮六 だけんどなあ金吾、こんなこと言うなあなんだけんど、春子さんという人は、おめえにとっちゃ今となっては、まるで、魔物がとっ付いてるようなもんだぞ。もういい加減に夢さ
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