敏子 おじちゃん、歌、うたって。
金吾 また歌か。おじちゃんは歌は、へえ、駄目だから。
敏子 駄目、うたってよ。盆のうた、うたってよ。
金吾 盆のうたか、しようねえなあ――じゃうたいやすよ。ヤーレー(敏子が小さい両手で手拍子をとる音)はは、ヤーレ、盆が来たのに、踊らぬ奴は木ぶつ、金ぶつ、石ぼとけ、ヤレ、ドッコイ、ドッコイ、ドッコイショ!
敏子 ヤレ、ドッコイ、ドッコイ、ドッコイチョ!
(手をたたいて)もう一度!
金吾 やれやれ、もう一度か、ヤーレ、盆が来たのに――(そこへ森の彼方から、おーいと呼ぶ男の声がかすかに聞える。しかし、それが耳に入らぬままに金吾は歌い続ける)踊らぬ奴は、木ぶつ、金ぶつ、石ぼとけ、ヤレ、ドッコイ、ドッコイ、ドッコイショ!(そのうたにかぶせて森の彼方から近づいてくる男の呼声が、おーいと近づく)
敏子 あら、誰か来たよ。
金吾 ……(すでにその時には彼も誰か来る音に気がついて、そちらを見る。林の中をふみしだきながら、畑のふちへ出て来る男二人の足音)
横田 (畑のフチに立停って、ニヤニヤと笑い出す)はは、へへへ、やっぱりここに来ていたね。おい君ィ!(と金吾に向って)
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