「子に出したりしましたけどね、ずいぶんつらかった。敦子さんのことは年中思い出したけど、それまでにあんまり御心配をかけたんで、もうお世話になるのが心苦しくて、敦子さんの所へは行けないの、あの方のことだから、そりゃ私のことを心配して下さって、近頃では私の行先々を追っかけ廻すようにしていらっしゃる。でもどうせお目にかかってもまた心配をかけるだけだから悪くって、逃げ廻ってきたの。敦子さん今頃怒ってらっしゃるわ。ホントにすまないと思う。
金吾 そうでやすか。
春子 する中、ひょいと、ここのことを思い出したんで、それからあなたのことを思い出したんで。そしたら、ここに来れば、そしてあなたにあえば、そこにお父様もいらっしゃるような気がしたの。それでフラフラと汽車に乗ったのよ。それがしかし、二三日前から体の調子が悪いのと、お金がなくて食べるものを食べていないものだから、汽車を下りてすぐああして、わけがわからなくなって、お豊さんに助けていただいたんです。ホントに何と言っていいか――お豊さんて方、それから御主人の喜助さんですか、いい方たちだわね。
金吾 はあ、ありゃいい夫婦だ。俺なんずも、あの人達が居るんで
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