スの……そいで、あなたの事を思い出したの。そいで、フラフラとこちらにやって来たの。かんにんしてね。
金吾 いいんでやす。いいんでやす。そんなに口きいちゃ疲れるから――
春子 いえ、もういいのよ。……山も川もこの道も昔のまま――ね。……お父さまと、一番最初、馬車で行って、二度目も三度目も、それから……そこを又、あなたに引かれて、こんなリヤカアに乗って通る。金吾さん……私って、しようの無い、えてかってな女ね。
金吾 そんな、春子さま、そんなこと――
春子 ……罰が当ったのよ。罰が当った。――
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この時、遠くから風にのって流れて来る秋祭りのハヤシの笛と太鼓の浮き立つような音。
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春子 あら、なにかしら――?
金吾 この奥の村でそろそろ祭りだから、ハヤシの稽古だ。(歩みつづける)
春子 ……ああ!(と魂の底から出てくるような嘆声)いい音! ……(ハヤシが高調にかかる)……お父さん! (しみじみと泣き出している)お父さん! 春子を許して、お父さん!
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リヤカアのきしり。金吾の足音、祭りばやし。
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