迢ネ川のテーマと同じものを使用)[#「使用)」は底本では「使用」]

千曲川添いの街道を、幼少女を背に負い、春子をのせたリヤカアを引いて歩いて行く金吾のじかたびの足音。時々、川波の音。……
[#ここで字下げ終わり]

春子 (リヤカアの上に横になってウツラウツラと眠っていたのが低く唸る)ああ、ああ……
金吾 (立ちどまって)どうしやした、春子さま!
春子 敏ちゃん! 敏ちゃん!
金吾 敏子さまは、こうしてわしがおぶって、よく眠っていやすから。
春子 ……(金吾の言葉が聞こえたのか聞えないのか、又ウツラウツラ……それを見て金吾歩きだす)

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間……(信州のテーマ)

前方からこちらへ向ってカパカパカパと馬のひずめの音がして、村人四(男)が近づいてくる。
[#ここで字下げ終わり]

村人四 (中老)やあ、金吾さんだねえかよ。
金吾 ああ藤作の小父さんでやすか。いいあんべえで。
村人四 どうしただい? 病人かなし?
金吾 いえ、その……(言っている内に、双方立ちどまっての話では無いので、リヤカアの音と馬のひずめの音とはすれちがって忽ち引き離されて行く)ごめんなして。……
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