黷ワしたがね、なんしろあの気性だし、子供は多いし、まあま食べるに困るという事もない代りに、金が溜るという事も無え。なんてえ事は無い、気楽な貧乏世帯で。はあ、そうでやす。柳沢の金太郎はわしの末っ子で、あれは、その後、金吾さんが、俺の所に養子にくれろと言いやしてね。俺あ一生女房もらわねえから子が出来る当てがねえ、んだから、お豊さんお前の生んだ子に俺の後を取らせてえと、そう言ってくれやして、はあ。そんで名前も俺に附けさせろつうので金吾の金を取って金太郎とつけてくれやした。もっとも、これはもっとズット後の話でやして……そんなわけで六、七年、春子さんはフッツリこちらへは見えなかったが、その間金吾さんは百姓仕事をコツコツやりながら黒田の別荘の世話をズーッとつづけていやしたから、腹ん中じゃ、しょっちゅう春子さんの事は考えちゃいたんでやしょうが、口に出しちゃ、春子さんのハルとも言わねえ。そったら人でやす。その間、春子さんの方は、薄情と言いやすか、ハガキ一本よこさねえような加減でやしてね……するうち、六、七年たって、そうだ、あれはもう小海線の汽車が海の口まで開通していやして、だいぶ便利になっていたっけが
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