盾ナやすねえ。私のことで壮六さんとあんたが喜助と喧嘩してさ、その後、私がこうして喜助んとこにかたづいて、もう、こうして子供を二人も抱いてらあ。そいで、あんたはいまだにそうやって黒田の春子さんのために苦労して――
金吾 いや、今度の土地の事は春子さまなんかよりゃ、死んだ黒田先生のこの――
お豊 嘘うつきな金吾さん。わしにはチャーンとわかりやす。春子さんだわ。いえいえ、そいつを、からかおうと言うんじゃねえ。だけんどさ、お前と言う人も、なんてまあと思ってよ。
金吾 お豊さん……すまねえ。……俺あ、阿呆だあ。
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夜の林の方から、フクロウが鳴いて、ションボリ帰る金吾の足の下でプチプチと枯小枝の音。
ザーッと風。
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男二 (信濃追分節の一節を低音に「浅間山さん、なぜ身をこがす」と歌いつつ近づいて来て)あい、お晩で。
金吾 (沈んだ声)お晩で。(二人すれちがって、男二は又歌で遠ざかり、金吾は自分の小屋の方へ、ガサガサ、ピシリと歩く。フクロウの声)
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やがて小屋につき、戸をガタコリ、ゴトリと開ける。
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