サうという事なら、考えて見てもよいが、私はもともと十円でも二十円でも高く売払ってきてくれと言われて来ているのだから、そういう事を言われても問題にはならないんだ。どうかもうお引取り下さい。
金吾 どうか、そこんところを、何とかお願い申しやす。いえ、今現金は三千円しか持って来てないが、残りの三千円は三月も待って下されば、何としてでも持って参りますから、どうぞ曲げて私にお売りやして! この通り、お願い申しやす!
横田 それがね、私個人としては待ってあげたくても、黒田さんの方ではその金額が明日にも入要なんでね。まあ、あきらめて下さい。そんなに買いたければ、その内に轟さんから買いもどすんですなあ。もっとも、あの人もなかなかの人らしいから、その時に値段は倍か三倍位つりあげるだろうがね。とにかくもう帰って下さい。私はこれから役場へ行って登記の書類をそろえなくちゃならんから、失礼。……(立ちあがって床の間の方へ行きカバンを開け閉めして外出の仕度をする気配)
林 ……どうも――柳沢君よ。失礼しよう。
金吾 (泣くように)ホントにお願い申しやすから……
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(返事なし。舌打ちをしなが
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