mっているのは小笠原と言う人と、横田と言う人ですの。小笠原と言うのは、とても乱暴みたいな、豪傑肌と言いますか。横田と言う人は、極くおとなしそうな人ですけど。
木戸 小笠原と横田ね。
春子 敏行はその横田さんの方を信用しているようで、実は、現在も横田さんは主人に言いつかって、信州に行っている筈ですの。なんでも、会社創立の払込金の敏行の分がまだかなり残っているとかで、そのため先日から金をかき集めているんですけど。それに信州の土地家屋を売り払うために、横田さんに委任状を持たせて行かせたんですの。なんですか、その金が払い込めないと、刑事問題とかにもなりかねないとかで……
木戸 いや、私の心配するのも、そういうような点でしてね。そうか、とにかく、大至急なんとか手段を取るように考えてみましょう。
敦子 ちょっと待って春子さん、だって信州の別荘や土地は、あれはあなたの名儀になっているんじゃなくって?
春子 ええそうなの。でも、しかたが無いから、あたしの実印やなんかも持って行ってもらったわ。
敦子 いけない! それごらんなさい春子さん。あなたと言う人はホントにまあ! だってあれはあなたのお父さまのお心
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