はもう永久に
生きようとはしないだろう
死のうとしない如く
馬鹿な!
捨吉の目をのぞくと
パッチリと開いたままに
なにも見えない目が澄んで
しかし北の空の
うす白さを反射しながら
底の方から明るんできた
捨吉の笛は尾をひいて
谷間を渡る
谷間からは
それにもつれて
遠く遠くの人の聲が
ひびきのぼつてきた。
[#地付き](昭和三十三年三月)



底本:「三好十郎の仕事 第三巻」學藝書林
   1968(昭和43)年9月30日第1刷発行
初出:「放送文化」日本放送協會
   1958(昭和33)年5月号
入力:伊藤時也
校正:伊藤時也・及川 雅
2009年1月6日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全22ページ中22ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング