の小父さんが喧嘩をしてる
そのありさまがパッパッと電気のように現われて
垣根のところで父は鎌を小父さんは鍬をふりかぶり
両方とも顔から首から血だらけにケガをして
ケモノのようにたたかっている!
いけない! いけない! いけないと
起きあがろうとしてもギブスをはめた身は
どうしても起きあがれない
お父さん! 花婆やっ! お父さんっ!
誰か来てっ!
もがき苦しんでいる間も
表の騒ぎはやみません
どこかでしきりと井戸水をくみあげる音もする!
わーっ、そっちだ! あぶないっ!
ウォーッ! と男の人たちの声々!
バリバリバリッと何かのこわれる音!
ああ、どうしよう?
お父さんが殺される!
早く来てっ! 誰でもいいから早く来てっ!
畳に爪を立てるようにもがく!
そこへ出しぬけに窓の雨戸をガタン・ゴトン・ガラリと押しのけ
障子をサッと開けながら
「光ちゃん、光ちゃん、どうした?
おれだよ、昇だ、大丈夫だよ!」
昇さんは目をギラギラと昂奮した顔をして
頭から肩からグッショリと水に濡れてる!
しかし直ぐハッハと笑って見せて
「光ちゃん、心配しなくてもいいよ
一時はどうなるかと思ったけど
もう大丈夫だ、ハ
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