父とこちらの小父さんが
二人で向い合うと馬鹿の中でも一番の馬鹿になる
そうだ、死ななきゃ治らないものなら
いっそ二人で斬り合いでもなんでもやって
殺し合って死んでしまえばいいんだよ
しかしね、光ちゃんよ
君と僕とはその馬鹿の子供同士だけれど
父親たちの争いを受けつぐのだけはごめんだね
どんなことがあっても
たとえどんなことが起きたとしても
君と僕とは仲良くしようぜ
いいね光ちゃん、げんまんだぜ!」
そう言って昇さんはニッコリしながら話すのだけど
本気で言っていることは涙ぐんでる目つきでもわかりました
私は一人になってから胸が痛くなり
ボロボロと涙が流れ出してとまりません
私はぜんたいどうすればいいの?
7
「私はぜんたいどうすればいいんです?」と
私は父に言ったのです
その晩、夕食もすみおつとめもすみました父が
毎晩の例になっているように
寝る前のいっときを
私の枕もとに来て坐ってからです
「え? 何のことだえ?」
「いえ、昇さんも言うんです
ほかのことではあんなに賢い、良い人なのに
両方が寄ると、どうしてこんなに馬鹿げたことで争うのだろうって」
「昇君が? なんのこと
前へ
次へ
全34ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング