れでいいさ。……君さえシャンとしていれば、そして諦らめないでネバリ強くやって行けば、その内、なんとかなる。……どこへ行っても大概似たようなもんさ。……凡々として、その日その日の塵や泥の中を、こねくり返して、やって行くのさ。それでいいんだよ。
登美 ……なさけ無いわ。
三好 なさけ無くったって、かまわんよ。
登美 いえ、私の言うのはね、そんな周囲のイヤな事もだけど、それよりも、私自身のこと。……これまで私、チットは人より頭も良いし、生きて行き方に就ても多少は新らしい理智と言ったようなものも持っている人間だと自分で思っていたの。……それが、まるっきり自惚れ。……そんなもの結局なんにもなりはしない。ただ要するに平凡な、馬鹿な、道に迷っている一人の女に過ぎなかったのよ。やっと近頃それに気が附いたわ。
三好 いいさ、俺あ、むしろ、それに賛成だよ。君はもともと大変良い子だよ。僕は好きだ。しかし、ふだんから、君の中にある新しがりやの[#「新しがりやの」は底本では「新しがやりの」]、変に高飛車な所だけは好かん。そこに君は自分で気が附いたんだ。いいじゃないか。……人間ふだん何でも無い時は、いくらでも高飛
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