事に間違いは無いと思うが、でも他の人が見れば、又違った見方をするだろう。批評と言うものは、そんなものだ。結局、なんのたしにもなるもんじゃ無い。いいね?
佐田 ……(黙ってかがみ込んでいる)
三好 ……そいで、ハッキリ言うと、君は一日も早く戯曲なぞ書くのを、よした方がいい。望みは無い! (言い切って、真青な顔をしている)
佐田 ……(首を垂れていたが、やがてフト顔を上げて)駄目でしょうか?
三好 駄目だ。……全体、命がけで戯曲を書いている人の、こいつは、作品では無い。命がけで書いた作品を、第一、こうして、綴じても来ないと言う法があるか。
佐田 ……それはあなたが僕の生活を知らないからです。綴じようにも、紐一本、紙一枚僕は持っていません。原稿紙だけはズッと以前のがありましたけど。
三好 ……いや。内容もそうだよ。ここに出て来る若い男が女に話す話、まあラブシーンかね、……あれは、なんだ? 田舎の百姓の青年が、「僕はこうしてあなたと並んでいると、生命の躍動を感じます」とは、なんてえ言い草だ? ダボラを吹くな! これはホンの一例だよ。徹頭徹尾、君は作品で嘘をつこうとしているんだ。
佐田 そうでし
前へ
次へ
全109ページ中87ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング