好さん、なけなしの金を、ああしてあなたにあげたわね。
佐田 僕あ、感謝していますよ。…………(しばらく黙っていてから)あなたは三好さんの、なんですか、愛人ですか?
登美 あいじん?……私?
佐田 そうでしょう?
登美 そう見える?……フ。
佐田 そうじゃないんですか?
登美 なぜそんな事おききになるの?
佐田 ……なぜって事も無いんですが、……はじめから、僕は、あなたを綺麗な人だと思っているから。
登美 ……。綺麗でしょう? 勿論綺麗だわ、私は。
佐田 ……あなたを見ていると、僕あ、なんか、夢の中で美しい人を見ている様な気になる。
登美 夢ね? アハハ。
佐田 嘘を、僕は言ってるんじゃ無いんだ。(スッと立って来て、登美の直ぐ傍に並んで坐る)
登美 …………? (でも起とうとはしない)
佐田 (机にかけた自分の左手を見て)チョット、これを、おさえて下さい。こんなに顫えるんだ。こいだけ、もう、身体が参っちゃってるんですよ。……おさえて見て下さい。
登美 こうなの?……(佐田の左手を片手でおさえる)
佐田 ……こら。ドキドキしているでしょう?
登美 そうね。……(少し身じろぎをして)なに、な
前へ 次へ
全109ページ中85ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング