い性質だけど、虫がきついから、始終気をつけて虫をこじらせないように、なんでも単純に単純に考えないといけない――。
三好 全くだぞ。
登美 でも三好さんだって同じよ。私が居れば、私さえ泣かされていれば、そいで三好の虫はなんとか納まって行けるけど、私が居なくなったら、どうなるんだろうって、先生、心配なすってた。
三好 あいつ、そんな事まで君に言ったのか?
登美 亡くなる四五日前にも、おっしゃったわ。三好さんだってもうシャンとしないと、先生お泣きになってよ。
三好 なによ言やがる。
登美 だって、三好さんのこと、先生、とてもそりゃ大事になすっていたんだから――。
三好 いいよ、いいよ。彼奴の事はよそう。いや、もうよせ。……ふん。……しかし、荒れてるなあ。
登美 あたし?
三好 いや、お袖さんさ。迷っているんだよ。無理も無いんだ。水商売とは言え、もともと良い家で育って、此方の女中頭でチャンとやって来た、あげくだ。子持ちの船乗りの所へなぞ、そうチョックラ行けはしまい。
登美 お気の毒だわ。あんだけの長唄ってものが叩き込んであるんだから、あれで何とか身は立たないのかしら。うまいと思うんだけどなあ。
前へ
次へ
全109ページ中71ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング