僕の手元には、まるで無いし――。
浦上 いいえ、その事は、いずれ又、何か新らしく書いていただく時にでも清算していただきますから、気になさらないで――。
三好 そいつは是非書かせていただきたいけど、でもいつになるか当ての無い事では、御宅の方も整理が附かないでお困りでしょうし[#「しょうし」は底本では「しようし」]――。
浦上 いや、それは……。(かまわず靴を穿きにかかる)いずれにしても、元々私の方でお頼みして書いて貰ったんですから[#「貰ったんですから」は底本では「貰つたんですから」]、仮りに、これきりになりましても、それは私の方の責任で、あなたに御迷惑をかける筋はありませんから――。
三好 え? それ、どう言うんです?
浦上 まあ、まあ良いじゃ[#「良いじゃ」は底本では「良いじや」]ありませんか。あんまり、そんな事気になさらないで、どうか――。
三好 (顔の色を変えている)しかし、そんな、そいつはくない[#「そいつはくない」はママ]。あなたの言う事は――。
[#ここから2字下げ]
(そこへ、やはり下手庭口から、ワンピースにサンダル下駄を突っかけた登美が妙な表情をして、背後を気にしいしい
前へ 次へ
全109ページ中55ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング