いると言う事は、自分でも知っていますよ。だけど、あんたは、いちがいにそう言うけど、そんな地位だとか、人気だとかで一切が左右されるジャーナリズムとか[#「ジャーナリズムとか」は底本では「ヂャーナリズムとか」]文壇と言ったようなものが、現に存在している事は事実だからな。浮薄な事実かも知れんけど、或る意味では、事実ほど強いものは無いし、現実の真実だと思うんだ。それを否定していると、否定した此方があべこべに否定されて、ひっくり返るかもわからん。
三好 うん。わからんじゃ無しに、ひっくり返るね。現に、ひっくり返された僕と言う者が、こうして、居る。……しかし、それが全体、なんだてんだい?
轟 なんだって事も無いけど、そんな偏狭にならないで、此の世間的なアクタモクタをも避けないで、肯定した上に立って進んで行く方が、やっぱし作家としてのホントの道じゃないかと、近頃、そんな気がするものだから――。
三好 ……なるほど、僕は偏狭だよ。こりゃ、直さなきゃ、いかん。……だから、僕が考える通りに君も考えろなんて、僕は言いたくは無い。しかしだな。君がたった今言った事と、先刻言った事とは、字面は似ているけど、まるで
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