私は此処に置いて貰う! あんたが教えてくれるか、先生が此処に現われるかだ。すまんが、それまで居させていただきます。
三好 ……そうですか。そりゃ、まあ仕方が無いけど、僕はホントに知らんし、先生も今日明日には来ないだろうし――。
韮山 かまん! もうこうなったら私も意地や! 置いて貰う!
三好 そいじゃ、まあ、どうぞ。
韮山 あんたらから、舐められている韮山かどうか、まあ見ているが――。
[#ここから2字下げ]
(言っている所へ登美が、深呼吸をしながら、上手の廊下口からスタスタ出て来て、廊下の角の所に姿勢を正して立つ。素顔に素足が戸外の照り返しを受けて白くピチピチしている)
[#ここで字下げ終わり]
登美 ……(やがて、すなおな張りのある号令をかけながら、ダルクローゼ体操をはじめる)一、二、三、四――。(それが自然にオルゴールの曲に合う)
韮山 (それを見てビクッとして言葉を切る)…………
登美 (足を上げ手を振り、無心につづける)五、六、七、八。……一、二、三、四、五、六、七、八。――
韮山 ふーん。……(少しキョトキョトしながら、われ知らず立ちあがって、登美の体操をマジマジと[#「マ
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