い事をしている。彼等が小説製造販売業者になってしまいつつあるホントウの原因と理由は、そのへんに在るのではあるまいか?
私は、言うところの「戦犯」のことだけを言っているのでは無い。その事だけならば、終戦直後、左翼の中の小坊主諸君がわめき立てた「摘発」にまかせて置けばよい。私は、もっと、われわれ自身に関する事を言っているのだ。このままで放って置けば、ついに、他では無い、われわれ自身を永久に腐敗させてしまう毒素としての――つまり、われわれの自己が自己に対して犯そうとしている「責任トウカイ」のことを言っているのだ。
「もともと、私は戦争には反対でしてねえ。あの戦争は侵略戦争でしたからな。しかし、あんな情勢の中で正面切って戦争に反対することは事実上不可能だったんです。しかし、とにかく戦争を中止させることの出来なかったのは、われわれの弱さであり、まちがいでした。その結果の敗戦の惨苦をわれわれがなめているのは当然ですよ」と言った式のことを、オチョボぐちをして言うこと位、現在、やさしいことは無いであろう。――現に、これらの作者たちの或る者たちは、それをやっている。ハッキリと言葉や文字に現わして言わな
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