操作の中心地帯についての記録風の解説や描写が質量ともに目立つように取りあつかわれている点と、しかしそれがただ単に作品全体の背景または地塗りとなっているだけでなく、作中人物たちの生活や心理と表裏一体のものとして掴まれている点だろう。記録的な構成の中に小説的な要素を持ちこんで、大した不自然さやアンバランスを引き起していないのは、最近現われたこの種の作品中目立ったものであるし、新しい小説分野への展開へのヒントのようなものをも含んでいる。それはこの作者の現実認識の眼がガッシリと重厚なこと、対象への態度とそれの表現にあたっての近代的に明晰なナイヴィテと、そしてセンスの新鮮さとから来ているように思われる。全体および各部の淡々とした非情の筆つきに、時に老成をてらった感じがないでもないが、しかし概してそれさえも材料とよくマッチしている骨の折れた仕事だ。そう思う。思いながら、なにか中途半端に、片づかなくなっている自分に気がつく。どうも小説が自分を強くは打って来ていないのである。これだけの仕事がしてあれば、なにかの形でもっとノッピキならずこちらを打って来るはずだ。しかも取り上げてある材料や時期がそれ自体と
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