したりして多少の学問と文筆への習慣を持ち、ほかにする事がなく、ヘラズ口を叩くのが好きな者にとって、批評家になるほど手易く「割の良い」ことは無いわけです。これ以上に、ノンキな商売はありません。しかし、それだけにまた、良い批評をし、良い批評家になるほどむずかしい仕事もないとも言えます。誰にでも、いつでも出来る事がらを、あたりまえにしながら、同時にそれを立派に上等にやる事ほどむづかしいことはないわけですから。それはちょうど、夏になってアイスキャンデイ屋になることが誰にでも出来るやさしい事であり、それだけにまた、すぐれた良いアイスキャンデイ屋になることが、なかなかむづかしい事であるのに似たようなことでしょう。なぜなら、あなたはアイスキャンデイを食って腹痛を起したり、下痢をしたことはありませんか? 私は数回あります。世間には、非良心的に作られ、非良心的に売られたアイスキャンデイを買って食って病気になったり死んでしまったりする子供が、かなりおります。困ったことにアイスキャンデイの中の悪いバクテリヤは目には見えないし、また、凍っているために、そのアイスキャンデイが腐敗しているかいないかが、目でも鼻で
前へ
次へ
全274ページ中208ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング