は、気味の悪い反響が聞えて来ます。しかし、それは一寸でも二寸でも深淵が埋まったという合図であるとは言えないでしょうか。言葉が通じなければ、ドナリ声だけでも、または手真似だけでもして見ようというのです。不快のことなどは当分タナあげにして置くつもりに私はなっているのです。――つまりそれが私が性こりもなくこれを書きつづけるワケの一つです。他にもワケはありますが、それはだんだんにわかってもらうようにしたいと思います。

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 Kさん。
 この恐ろしい陥没を埋めようとする努力は、言うまでもなく、本来批評家の仕事です。しかし、今日の日本の批評家たちは、ほとんど、これをしません。逆に陥没を掘り深めたりしている人がある位です。どういうワケでしょうか?
 思うに、批評ほど、やさしい仕事はありません。他を見て「お前さんはバカだ」と言ったり、「これこれの作品はナッチョラン!」と言い放てば、やっぱり、それは批評の一種です。同じことを、もっとムヅカシイ、わかりにくい言葉で言う技術を持っていれば、さらによい。誰にしても、何に対してでも、なんとか言えるではありませんか。大学を卒業したり中途退学
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