ら生まれて来たのです。Y君が自作への世評の良いことをそのまま喜んでいるならば、私はこんなことを考えて見る必要はなかったでしょう。つまり、彼があなたに向って自作を否定して見せたのが、実は内心で喜んでいる事を、あなたにかくすためのテライや気取りやクソ謙遜やハニカミの芝居だったのなら、むしろ私はその話を微笑して聞き流すことが出来たろうと思うのです。それがそうでなく、Y君の自己否定が真実であることを信じれば信じるほど、私は考え込まざるを得なかったのです。
それは、われわれ近代インテリゲンチャの自己反省のことです。それと、われわれ自身の主体ないし自立との関係のことです。
一般に自己反省や反省力は、人間を向上させ進歩させるための貴重な精神作用だと言われます。そして人間が向上し進歩するという事は、人間がそれ自体として豊富になり充実してより完全なものに近づくことであると共に、その人間が周囲との関係においてより自然な、より高い調和と連帯性を身につけるということだろうと思います。これを一言に言えば、より強くなるということではないでしょうか。
Y君は、彼の自己反省の中で、より強くなったでしょうか? い
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