は書きませんと言ったそうですね。その時のY君の表情や言葉つきは、ほめられたためのテレかくしのために不快をよそおったり、クソ謙遜しているような所は微塵もなく、心から自作を否定して恥じ入っていたそうですね。あなたの観察は正しいと思います。Y君には私も数回会っており、彼が正直な人間で、テラウ気持や気取る習慣やクソ謙遜をして見せる悪趣味など、ほとんど持っていない事を私は知っているのです。
そして、あなたはその事を「自分が三、四カ月前に発表した作品、しかも世評の多くが口をそろえてほめている作品について、自らあそこまで冷酷に自己批判して、あれほど根本的に否定し得る自己反省力」と言われました。その事を私は今考えているのです。もちろん、あなたの言葉そのものに、こだわろうとしているのではありません。また、もちろん、Y君のあの作品についての批評をしようと言うのでも、それについての以上のようなY君の態度を論評しようと言うのでもありません。と言うのは、私はかねてY君を良い作家だと思い、それが作品を発表して世評が良いと言うことを、よろこんでいる人間なのですから。ですから今私が考えている事は、ちょうど逆の理由か
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