でやってこられたんですからね。しかし、そのほかのです、そのほかの大多数の連中がだな、あんたがたを前に押し立ててですよ、この――つまり、なんだ、つまり私たちなどが戦争中、軍閥や財閥を押し立てて、つまり、軍国主義的空気に便乗してエテカッテをしていたというのなら、今、そんな連中だって、あんたがたを笠に着て押しまわっているんだと、言って言えないことはないわけで――とにかく、この、いえ、私がこんなことを言うのはだな、すくなくとも津村さん、あなたがたには私らの真意――つまり今となって大きなことは言えないけれどもがですよ、すくなくとも、この人間としての、このわずかながらです。人間的な、この一片の誠実さをです、あんたがたには、わかってもらいたいのだ。わかってもらえると信じているからですよ。(椅子から床の上にすべり降りて、片手をついて)ね、その点だけは、この――
津村 わかった、わかった。いいじゃないか、人間にも動物にも、それぞれの泣きどころというものは有るさ。これまでは、僕らの泣きどころを君たちがくすぐっていたわけだろうし、こんどこうなってくると君たちの泣きどころを僕らがくすぐることになるわけだろう。
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