買Bンセントを憐れんだり、心配したりしているが、ふっ! 君たちにそんな資格が有るのかね? なるほど、人間としてはあの男は、ウジウジした、オランダの田舎者だ。キャアキャア騒いだりメソメソしたり、うるさい男だよ、ヨーロッパ文明のオリの中に飼われてヒステリイになっている猿さ。諸君と同じようにね。しかし、これを見ろ。(と「タンギイ像」を示す)こいつは猿の描いた絵じゃないよ。ウジウジしたりキャアキャア言ったりメソメソなんぞ、まるきりしてない。惚れ込んで、なんにも疑わないで、ウットリして、堂々と描いている。色にしたって、そうだ。塗り方にはスーラやピッサロなんぞの点描が入って来ているんで少し気に食わんが、まじりっけなしだ。マルチニックの透き通った海の水の中から太陽を見た時と同じ色だ、こりぁ。まるで土人の眼だ、こいつは。
ロート また土人か。ぜんたい、それは褒めてるのかい、くさしているのかい?
ゴー 黙れ、トゥルーズ! 君たちヒステリィ猿どもは、絵を見るには褒めるのとくさすのと二色しかないと思っている。ところが絵は絵だ。マンゴウがマンゴウであるように絵は絵だ。ホンモノとニセモノが有るきりで、理窟はいら
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