「ますよ。日本は太陽の国だ。太陽に一番近い。それから、これです。(と壁にかかっている浮世絵をグルリと指し示して)これを見て、日本へ行きたがっています。こんな色とこんな線を生み出した天才たちの居る国へ、そのうちに僕は必らず行く。死んでも行く。
ロート 死んでも行くか。フフ。ヴィンセントだねえ! 何かと言うとすぐに死ぬと言う。ハハ、この人生に耐えきれないんだなあ。自分の与えられたライフを悠々として享受することに耐えきれない。自分の命の財布の中から金をチビリチビリと小出しにして使っていられない。大急ぎで、一気に全部をはたかないと我慢が出来ない。ヒヒ、わが輩と同じさ、その点では。ただ、わが輩には、これを託するに酒がある。ヴィンセントにはカンバスが有るだけだ。そうして、わが輩は酒と心中する。ヴィンセントは間もなくカンバスに頭をぶっつけて死ぬよ。そういう運命だ、心配したもうな。
ゴー 始まった、猿の哲学が。
ロート うん? わが輩のが猿の哲学なら、お前さんのは牛の哲学かね? いや、哲学じゃない、牛の、いちもつだ。(ベルトに)これは失礼。
ゴー (相手の言葉は歯牙にかけないで)ああの、こうのと諸君は
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