Aしらっぱくれていやあがる。そうだとも、あんな絵は馬鹿か気ちがいでなきゃ描かないんだぞ。ねえベルト。(モリソウは笑っている)ただで貰っても迷惑と言うしろものさ。
タン そうですかな? いや、ゴーガンさんの絵具代が二十五フランも溜っていましてね、どうしても払って下さらないもんですから、しかたなしにあの絵を、ああしてお預かりして置いてあるんですが、なかなか売れないんで弱っていますよ。
ロート どうせ、そんなことだろうと思った。売れるもんかあんな絵が、今どきのパリで。
エミ 二十五フランか。僕なら二百五十フラン出しますよ。ただし、目下一フランもないけど。
タン (ロートレックの言葉も、ベルナールの言葉も深くは理解できないで)え? いえね、とにかく、昨日などあなた、立派な紳士が飛びこんで来て、あの絵は逆さまに置いてあると注意してくれましたよ。上の青い所は、あれは空ですからと言いますとな、あんな空がこの世に在る道理がない、あれは海だ。そう言うんですよ、ハハ!
ベルト ホホ、まあねえ!(他の二人も笑う)
ロート は! そう言う豚どもだ!
おかみ (ベルトに)いらっしゃいまし、奥さん。どうぞこちらに
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