フために、三十歳ぐらいにしか見えない。――三人はこの店に入って来かけて、飾窓の前でチョット立ち止る。ロートレックが、ステッキで、中の絵の一つを指している。
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おかみ そら、おいでだ。ロートレックさんと、ベルナールさんと、あの奥さんは何とか言ったっけ――
タン モリソウの奥さんだよ、ベルト・モリソウ。綺麗な絵を描く人だ。……(言っている内に三人が店に入って来る。タンギイその方へ寄って行き)これは、いらっしゃいまし、モリソウの奥さん、良いお天気でございますな。
ベルト (やわらかな会釈をして)モンマルトルの丘の上から見ると、空がルリを溶かしたように見えてよ小父さん。パリは今頃が一番ですわね。
ロート (酔っている。タンギイに)やい、詐欺師! また、うまくやりやがったな。どうして巻きあげた、あれは?
タン (相手の口の悪いのには馴れている。微笑しつつ)なんですかな、ロートレックさん?
ロート あのマルチニックさ、ゴーガンの。あれは小さいけどポールが離したがらないでいた奴だ。
タン 良いもんでしょうかね?
ロート へっへへ
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