竄チてんだからね。とにかく、そんなこんな全部、ゴッホさん、あんたの責任なんだから、ただそうやって、すまないすまないで、三文にもならない絵ばかり描いていちゃ駄目じゃありませんかね? こんなザマだと、また、クリスチイネは、あたしん所へ金を借りに来ますよ?
ヴィン ルノウのおかみさん、どうか頼むから、その、あれを引っぱり出すのは、よしてくれ。
ルノウ 引っぱり出す? あたしが? 冗談言ってくれちゃ困るよう! なあによ――これまでだって、いつでもあんた、あの子の方から是非にと言って頼まれてあたしゃ、めんどう見て来たんだよ。こいでもあたしゃ、女郎屋のやり手婆あじゃないんだから。シィヌの身になって気の毒と思やあこそ――だって、おふくろや子供たちにも、仕送りはしなきゃならない、自分は年中医者にかかっている、で、あんたはその調子、すると女の身で金え稼がなきゃならないとなると、こいで、元手はウヌが身体だけだあね。ひひ。そうじゃありませんかね? そうさせたくなかったら、あんたが奮発して、何か仕事を見つけて稼ぐんだね。
ヴィン 僕にやれるような仕事があるだろうか?
ルノウ そりゃね、今こんな不景気だから、割
前へ
次へ
全190ページ中60ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング