モーヴ じゃ聞かせてあげよう。いいかね? 共――
ヴィン 黙ってください! 黙れ!
モーヴ なんだと――?
ワイセ やかましいなあ。
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それまでジッと立っていたシィヌが、なんのこともなかったようにスタスタとテーブルの方へ行き、貧しい茶道具を一つ一つテーブルの上に置く。モーヴもヴィンセントも黙ってしまって、彼女の姿を見守っている。……その時、盆の上に最後に一つ残った茶わんが、小きざみにカチャカチャカチャと鳴る。
[#ここで字下げ終わり]
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シィヌ (その盆をガチャンとテーブルの上に置く。その拍子に茶わんが床に落ちてパリンと破れる。それを見ながら、しばらく黙っていてから、思いがけなく落ちついたユックリした語調で)そうなんですよ。……みんな、私のことを共同――
ヴィン 黙ってくれシィヌ! だ、だ――
シィヌ ……(言葉を切って、しばらくジッとしていてから、フッと顔を上げてヴィンセントを見、それからモーヴを見、再びヴィンセントを見た時にニヤッと笑い、それから、破れた茶わんのカケラをガリリと踏んでユックリと歩いて戸口から出て
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