て2字下げ]
老婆 ……(最初にヴィンセントを見つけて)先生、帰ってござった。
ヴェルネ ああ、お帰んなさい。御苦労さまで……(立って行って迎え入れる。デニスも立つが、これは何も言わない。ヨングは腰かけたまま全く無表情な眼をヴィンセントの姿に注ぐ)
ヴィン ……(ゴトリ、ゴトリと入って来る)
ヴェルネ こちらは、あの――(と身ぶりでヨングを指して)先程から、待ってござる――
ヨング ヴァン・ゴッホ君、わたしです。
ヴィン ……(言われてフッと我に返り、急にキョトキョト周囲を見まわす。それから改めてヨングを見て、黙って、ていねいに目礼する。ヨング軽くそれに答える)
老婆 あのな先生、こねえだお願いして置きやした、シモンの御祈祷を、今日あげていただこうと思ってね、こうして参りましたよ。どうぞまあ――
ヴィン ……(そのすこしトンキョウな調子の声で、そちらを振り向いた拍子に、身体の衰弱のため、フラフラと倒れかかる)
ヴェルネ どうしやした?(ヴィンセントの肩を支え、椅子にかけさせようとする。ヴィンセントは、もう一度ヨングに頭を下げてから、椅子にかけ、そのまま言葉を忘れてしまったように、グッタ
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