アれから仕事に出かける途中に寄ったと言った制服姿で入口近くに立ってニコニコして眺めている。看護婦は、白衣の少女で、ベッドのわきに身を曲げて、ベッドの上の絵具箱から絵具を出してヴィンセントに渡している。ハミングは、続いている。
ヴィンセントはパレットに絵具を並べ終り、パレットと持ち添えた筆の中から一本を右手で抜きとり、鏡とカンバスを見くらべてから、眼をテオに移す。テオがうなずいて見せる。次にヴィンセントの眼がルーランへ行く、ルーランうれしそうにニッコリして、制帽のひさしに右手をチョットあげる。次に、絵具を渡しおえてキチンと直立して、びっくりしたようなきまじめな顔をしてヴィンセントを見ている看護婦に眼をやると、その少女がヴィンセントの眼の中を覗くように見ていた末に、思いがけなくニコッと笑う。
ヴィンセント、筆でパレットの絵具をスッとさらって、鏡を見、描きはじめる。
――以下、朗読の間、ヴィンセントの右手がユックリ動き、眼が動くだけで、四人とも、ほとんど動かぬ。深く沈んで続くハミング。
そのハミングのバックの前で男声ソロの朗読(薄暗い袖に朗読者を出し、マイクロフォン使用)――
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