ノゴーガンの姿は見えず。……ガックリして、ノロノロと歩きテーブルの方へ)
ヴィンセントの声 ゴーガン。ポール。ゴーガン。行ってしまった。畜生。畜生、行ってしまった。テオ、来てくれ。どうしたんだお前は? テオ、テオ、テオ、兄さんは気が狂いそうになってるよおう! よおう! 助けて、兄さんを助けて! ラシェル、ラシェル、ピジョン! 可愛いラシェル! え? なに? ゴーガンはラシェルの所に行って寝るのか? 畜生、ゴーガン、ちく!
ヴィン ……(テーブルのわきにフラリと立った、その眼が次第に光り、再び錯乱に落ちて行くらしい)
ヴィンセントの声 ラシェル、ラシェル! ケイ! 可愛いケイ! シィヌ! クリスチイネ! ラシェル、ラシェル、ラ、ラ、ラア、ラアアア……(その声に混って、遠くでカタカタ、カタカタと床を踏む踊りの足拍子。やがて、それにダブッて、狂うように追って来る「ファランドール」)
ヴィン ……(それらを聞きすまして、ジッとしていたが、不意にキョトキョトと周囲を見まわしてから)よし俺も行くぞ、ラシェル。行くぞ。ラシェル。待っていろ、待っていろ。耳を持って行ってやるからな。フフ! 待ってろ。(
前へ
次へ
全190ページ中184ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング