A向日葵……
ヴィン ……(キョロキョロとそのへんを見まわし、自分のイーゼルの方へ行き、ランプをかざしてカンバスを見る。むざんに切り裂かれた画面)
ヴィンセントの声 なんだこれは! これはどうしたんだ?
ヴィン ……(ランプに持ち添えたカミソリが眼にとまり、右手に持ちかえてそれを見、それから画面を見、何かを思い出し、それから、ゴーガンのイーゼルの方へランプをかざして、「肖像」が何ともなっていないのを見調べ、いぶかしそうな顔をして、しばらくジッとしていたが、やがてグッタリとなり、カミソリを持った手の空いた指で右のコメカミをおさえながら、ユックリ歩いて自分の寝室への階段の方へ行く。ハミングは消えており、あたりは全く静かである。……自然に足が停り、ボンヤリ前を見て立っていたが、不意にスッスッとすべるように急に歩いて下手のゴーガンの寝室の所へ来て、ドアを開けて入って行き、左手のランプを差しつけて、ゴーガンの寝室をジッと見る。ゴーガンは全く動かないで寝ている。……間……ゴーガンの身体がピクンと動いて、眼を開く。ヴィンセントは動かないで、うつけたように、それを見ている。ゴーガン、ゆっくり起きあがる
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