ネことない! だってこの間あの人言ってたわよ。ポールが行ってしまうと言ってる。ポールが行ってしまうと俺あ一人ぽっちで、どうしてやって行っていいかわからない、そうなると俺は悲しくて絵が描けなくなるかもわからない。俺はポールをホントに尊敬している。ホントに愛している。そりゃ、少し意地の悪い所はある、あるけどそんなことなぞ、どうでもいい。ポールをここに居させて置くためになら、俺あどんなことでもする。左の手一本ぐらいならローソクで焼いて見せてもいい!
ゴー ふむ。……(それを言っているのが、子供っぽい売笑婦であるだけに、かえって、強く打たれて、不意に黙ってしまい、眼を据えて「ヴィンセント像」を見ている)
ラシ (これは、ただ軽佻に)怖いくらい真剣な顔してそう言ってたわ。よくよくあんたに惚れてんだわ。あたい、少し妬けちゃったな。あんた、一体、あの人の何? 兄弟分? それとも絵の先生? 先生じゃないわね? だって生徒がポールなんて呼び捨てになんぞしないでしょ?
ゴー (苦しそうに、しかし強く)……友だちだ。……そう、一番仲の良い友だちだ。
ラシ ホント? ホントに? そいじゃ、あの人の言うこと聞い
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