蛯、だいって言ってやった。あの人、とても大きな飛び出した耳をしてるでしょ、ホ、ホ、まるで驢馬の耳みたいな?
ゴー そう言やあ、そうだ。(自分の描いたヴィンセントの肖像に眼をやって)フフ、そうさ。
ラシ ね、ホホ、そしたら、あの人とても喜んで、じゃそのうちキット持って来ると言うの。ハハ! うれしくなっちゃった、あたい! あんな怖い顔をしてるくせに、あんな善い人ってないわよ。
ゴー そりゃそうだ、たしかに。まあ、せいぜい可愛がってやってくれ。
ラシ だけど、あの人、ここが少しこれでしょう?(こめかみに指を持って行って廻して見せる)じゃなくって?
ゴー む、ちょっとね。だが、変だと言やあ、俺なぞも相当だぞ、わかるかね、だから、こんな所にグズグズして本物の気ちがいにならぬうちに、俺なぞ一日も早く南の天国へ行くよ。
ラシ え、どっかへ行くの、あんた? よしなさいよ。アルルよか良い所、世界中になくってよ。第一あんたがどっかへ行っちまうとフウ・ルウ、とても寂しがってよ。
ゴー そんなこたアないよ。ゴッホのためにも俺あ早くここを立ち去った方がいいんだ。俺が居るとあの男は気が立っていけない。
ラシ そん
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