セ。実に立派な絵だそうだ。しかし、そのモネエよりも俺の「向日葵」の方が好きだとゴーガンは言った。……俺はゴーガンの言葉を信じない。ゴーガンは立派な人間だから嘘を言っているとは思えない。しかし俺は信じない。信じられない。
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   「向日葵」
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ヴィンセントの声 (続いてソワソワとした早口)ゴーガンは強い。意地が悪い。絵を描くために罪もない奥さんと子供たちを捨ててしまって平気な男だ。画家としては偉大だが、人間としては悪魔のような男だ。……いやいや、そうではない、彼は実に親切な人間だ。彼はこの間も俺に、あんまり厚く塗った絵具の油を時々拭きとる方法を教えてくれた。そうすると色が鋭く冴えるのだ。ゴーガンに反感を持ったり憎んだりするのは俺が悪い。それは俺が弱くて、イライラばかりしているからだ。……テオよ、これがその描きかけの「向日葵」だ。君は、どう思う。俺は今三十五だ。とにかく、四十歳になるまでに俺は、そのモネエの「向日葵」に匹敵するような人物画を一枚でも描くことが出来たら、俺は芸術の上で誰か――それは誰でもかまわない――誰かの
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