スちはヘトヘトになってカッフェへ行く。そのカッフェの夜の景色をそのうち俺は描こうと思う。ガス燈がきらめき、青い夜空に星がまたたく。そのテラスでは、ここに来て俺が知り合った士官のミリエや、画家のボッシュや喜劇俳優や、たまにはルーランも寄って、コーヒーを飲み、小さいパンを食べ、白葡萄酒に時々はアブサンを飲む。アルルの夜のとばりが、さわやかな物音を沈めて落ちて来る。テオよ、俺は幸福だ。
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   「夜のカッフェ」
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ヴィンセントの声 (前とはガラリと変って暗く、ギクシャクと言葉の調子が乱れている)テオよ、俺は相変らずグングンと製作している。しかし時々頭がグラグラしたり、ここから逃げ出して行きたくなる。どうしてか、わからない。俺の頭の中で妙なものが、うごめいている。時々俺は絶望におそわれる。俺は遂に画家として完成されないだろう。ゴーガンの絵は売れるのに俺の絵は一枚も売れない。俺は部屋の中をカンバスで一杯にしていながら、一枚も送れるものがない。ゴーガンは俺のことを「旅団長、旅団長」と言うが、実際、俺は才能もなんにもない歩兵旅団か
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