サれに店も有るし、第一、家の奴が何と言うか……(奥の方をうかがう)
ヴィン コンミューンの勇士が、何をいくじないことを言うんだ?
タン それを言わないで下さい。あれも若い時の血気と言うもんで――
ヴィン だって嘘じゃないんだろ? 普仏戦争終り、パリにコンミューン新政府樹立さる。人はすべて自由に平等の権利を以て生れ、かつ生活す、か。自由、平等、博愛。ガンベッタ万歳! ……共和万歳! ヴェルサイユの軍隊を向うにまわして小父さんは市街戦をやったと言うんだろう?
タン なに、市街戦と言っても――私など、遂に人を殺すことは、ようしませんでしたよ。気が弱くって、ハハ。つかまってサトリイに送られ軍法会議にかけられ、ニュー・カレドニヤに流されることになっていたのを、アンリ・ルーアールさんが運動して下さって釈放されたと言うのも、つまりが私が兵隊を殺したりはしなかったせいでしょうな。とにかく、今から思うと二十年前、あれもこれも夢でさ。
ヴィン でも、フランスの飢えた平民のために戦った小父さんの気持は、今でもチャンと残っている。この店だって、これが有るために僕ら貧乏な絵かきが、どれだけ助かっているか知れやし
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